「漫才」と「コント」の違いとは?
日本のお笑いネタというのは
『漫才』形式
『コント』形式
の大きく2つに分かれます。
でもこの2つの違いを明確に説明してと言われると、難しいですよね、、、。
実は日本で最も有名な漫才の大会M-1グランプリでも、審査員や視聴者の間で
「あのネタは漫才なのか論争」
が巻き起こっています。
そこでここでは、それぞれの定義はもちろん、どのように見分けることができるのかまで、細かく解説していきます!
『漫才』の定義
漫才(まんざい)は、2人ないしそれ以上の複数人による寄席演芸の一種目。通常はコンビを組んだ2人によるこっけいな掛け合い、言い合いで客を笑わすものを言う。
Wikipedia『漫才』
つまりは「2人以上で行われる掛け合い」ということですね。
『コント』の定義
一方で『コント』の定義は以下のような記載があります。
コント(conte)とは、フランス語で「短い物語・童話・寸劇」を意味する言葉。日本ではいわゆる「演芸」や「お笑い」と呼ばれるジャンルに含まれるような、笑いを目的とした寸劇を指すことが多い。
Wikipedia『コント』
ここでのポイントは、
『コント』は常に「寸劇」である
ということ。
つまり芸人は本人としてネタをしているのではなく、自分以外の第三者を演じているのです。
『コント漫才』の存在
ここまで読んできた多くの人にも同様の疑問が生じているかと思います。
たとえ漫才であっても、「ピザの出前頼みたいからデリバリーして」とか、「将来お寿司屋さんやりたいからお客さんやって」とか。
これは定義からすると『コント』にも思えますよね。
ご指摘の通り、定義に当てはめて考えるとこれは『コント』とも考えられます。
しかしお笑い業界では『コント漫才』と呼ばれており、1つの漫才の中で別の役割を与えられているという形を取っています。
あくまでピザを頼んだのは漫才をしている当人であり、お寿司屋さんをするのも本人です。
別の役名があって、別の人を演じる訳ではありません。
つまり、本人達の会話の中で役割が与えられているだけであり、『漫才』になるのです。
『漫才』と『コント』の違い・見分け方
さて、少し難しくなってきたのでここまでをまとめると、
『漫才』…芸人本人(役割を与えられる場合あり)
『コント』…別の第三者を演じる
この点が本質的な違いになります。
この違いがゆえに、目に見える形で以下の様な観点でも異なる部分が生まれています。
漫才 | コント | |
ネタの始め方 | 自己紹介を含めた挨拶 | 役を演じたセリフ |
ネタの終わり方 | 「もういいよ」などのツッコミ | 舞台の暗転 |
服装 | 自由(スーツが多い) | 演じる役に合わせた服装 |
道具 | センターマイクのみ | 世界観を演出する小道具・セット |
これまでの漫才論争
さて、ここまでで『漫才』と『コント』の違いはお判りいただけたと思います。
ここでは過去に起きた漫才論争をご紹介します。
M-1グランプリ 第16回大会(2020年)
記憶にも新しい2020年M-1グランプリ。
本大会で優勝した「マヂカルラブリー」のネタこそが『漫才論争』を有名にした大きなきかっけでした。
彼らのネタは「ボケの野田クリスタルが舞台全体を駆けまわり、その様子を相方の村上が横から見ながらツッコミを入れる」というスタイルです。
特に野田クリスタルはマイクの位置など関係なしに動き回るのが特徴で、いわゆる二人の掛け合い・しゃべくりといった漫才のイメージとはかけ離れています。
そのネタが優勝したがゆえに、一般人はもちろん、審査員にとっても賛否両論が入り乱れる歴史的な出来事となりました。
結果的にあのネタは漫才なのか・・・。
当時のネタで「吊り革につかまりたくない」のも、「高級フレンチに行くことになった」のも、どちらも野田クリスタル本人と考えると・・・。
その判断は見る人に委ねられるのかもしれないですね。
M-1グランプリ 第10回大会(2010年)
先述した2020年大会の「マヂカルラブリー」の印象が強いがゆえに、10年前の2010年大会でも同様の論争が巻き起こっていたことを知らない人も多いのではないでしょうか。
本大会で初めて決勝に進出した「ジャルジャル」
決勝1回戦目では会場が大きく笑いに包まれるも、漫才と捉えられないという審査員が多く、結果的に全9組中8位という結果に終わってしまいました。
コメントを求められた松本人志さんも
「これはね~、漫才と取っていいのかっていうのはちょっとありましたね~。」
という厳しい発言をしており、のちの彼らの漫才に大きな影響があったことは間違いありません。
なお彼らはのちの大会にも出場しており、第3位の結果を残しています。
二刀流芸人
二刀流芸人とは「コントだけ」もしくは「漫才だけ」ではなく、どちらのスタイルも得意としている芸人のことを指します。
どの芸人も基本的には「漫才」が得意であったり「コント」が好きであったりと色が出ることが多いですが、どちらもこなしてしまう芸人がいるのです。
特に!二大賞レースである【M-1グランプリ】と【キングオブコント】にどちらも決勝進出したことのある芸人はごくわずかで、二刀流の難しさがうかがえます。
そんな二刀流芸人の一部をここでご紹介します!
かまいたち
【最高順位】
M-1グランプリ…第2位(2019年大会)
キングオブコント…優勝(2017年大会)
決勝に進出するだけでもすごいのに、どちらもしっかりと好成績を収めています。
かまいたちのM-1グランプリは2019年がラストイヤーのため、史上初の2冠達成は実現ならずですが、「漫才」「コント」をどちらもこなす、二刀流芸人の名にふさわしい芸人であることは間違いないですね!
サンドウィッチマン
【最高順位】
M-1グランプリ…優勝(2007年大会)
キングオブコント…第2位(2009年大会)
こちらも誰もが知る人気芸人、サンドウィッチマン。
こちらはかまいたちの逆で惜しくも「キングオブコント」で優勝を逃していますが、両大会共に圧倒的な結果を出しています。
どちらのスタイルでも賞レースで結果を出すのは本当にすごいですね、、、!
最後に
『漫才』と『コント』
今のお笑いを語る上では外せないジャンルです。
余談ですが、
『漫才』日本一を決める戦いは「M-1グランプリ」
『コント』 日本一を決める戦いは「キングオブコント」
ジャンル問わず日本一を決める戦いは「ABCお笑いグランプリ」
がジャンルで分けた大会になります。
こう見ると『漫才』『コント』を必ずどちらも披露して日本一を決める戦いがあっても面白いですね。